この記事を読めば、不朽の名著『人を動かす』の内容がばっちりわかります。
世界で約2000万部売り上げている名著『人を動かす』。
社会人なら一度は耳にしたことがある題名のはずです。
あまりにも有名なので「そこまで言うなら読んでみよう!」と思った人も多いと思います。
でも、結構濃厚な本なので読むことを諦めてしまった人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では『人を動かす』の重要部分だけをかんたんに紹介します。
さらに、マンガ版との違いや著者の残した名言、著者D・カーネギー氏自身についても述べます。
最後まで読めば、『人を動かす』を読んだ気になれるはずです。
それではいきましょう!
名著『人を動かす』の要約
『人を動かす』には、人と関わる上で大切な30の原則が書かれています。
後に発売された完全版では9の原則が加わり、全部で39の原則となりました。
原則は人との関わり方に合わせて分けられていますので、それぞれ解説していきます。
人との関わり方の3原則
【人との関わり方の3原則】
- 批判や非難で人は変わらない。
- 相手が欲しいものを与える。
- 相手の視点で、相手の問題を解決する。
『人を動かす』の根幹となる原則が上記の3つです。
思わず相手にしてしまう“批判”やこちらの“要求や要望”を一方的に伝えること、“自分のこと”だけを考えた発言はするべきではないとD・カーネギー氏は語ります。
『人を動かす』には
つまり、他人に影響を与える世界で一つだけの方法とは、相手の欲しいものについて話し、それを手に入れる方法を教えることなのです。
『[完全版]人を動かす』p.47より
と書かれています。
これが“人を動かす”ための答えだと言っても過言ではないでしょう。
上記の3つの原則は以下で述べる原則全てに関わるものですので、よく覚えておいてください。
この3原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
人に好かれる6原則
【人に好かれる6原則】
- 人に深い関心を持つ。
- 笑顔を見せる。
- 人間にとって、自分の名前が最も甘美かつ大切な音であることを、覚えておく。
- 聞き上手になる。相手には自分自身のことを話してもらう。
- 相手の関心事について話す。
- 常に、相手に価値があると感じさせる。それを心から行う。
人に好かれるためには、こちらから相手に興味をもつ必要があります。
相手のことを知ろうともしないのに、自分に興味をもってもらえるわけがありません。
人は、みんな自分が大好きなんです。
『人を動かす』には次のような記述があります。
肉屋でもパン屋でも、玉座に君臨する王様でも、私たちは誰でも、自分を称賛してくれる人が好きなのです。
『[完全版]人を動かす』p.76より
大好きな自分を好きになってくれる人を嫌いになるでしょうか?
嫌いになるわけがありません。
ほとんどの人は好きになってしまうはずです。
好かれたいなら好きになる。
これが人に好かれるためには大切なのです。
人に好かれる原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
人を説得するための12原則
【人を説得するための12原則】
- 議論で最善の結果を得たいなら、議論自体を避ける。
- 相手の意見に敬意を示す。絶対に間違いを指摘しない。
- 自分の間違いは、素早くきっぱりと認める。
- 友好的に始める。
- ただちにイエス・イエスと言わせる。
- 相手にたくさん話させる。
- 自分で考えた気にさせる。
- 相手の視点から、誠実に物事を見る。
- 相手の考えと欲求に共感する。
- 崇高な使命感に訴える。
- 自分の考えを演出する。
- 挑戦させる。
説得する時に大切なのが自分の意見を押し付けないことです。
人は誰からから命令されることに抵抗を感じます。
何事も自分で決定したいのです。
『人を動かす』には次のような記述があります。
何かを売りつけられているとか、何かを強制されているという気分は、誰も好みません。私たちは、自分の意志で買っているとか、自分の考えで働いていると感じることを好みます。自分の願いや欲求や考えを、人に聞いてもらうことが好きなのです。
『[完全版]人を動かす』p.204より
説得する時も、相手に「自分は説得されている」と感じさせてはいけません。
あたかも自分で決めたかのように錯覚させるのです。
こちらは相手に必要な情報を与えるだけです。
何が良いのか、何が正しいのか、どうするべきなのかを考えるのは相手だということを意識するのが大切なのです。
人を説得するための原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
人を変える9原則
【人を変える9原則】
- 相手をほめ・尊重することから始める。
- 人の間違いは、間接的に指摘する。
- まず自分自身の失敗から話す。
- 命令ではなく、質問を投げかける。
- 相手の面目を保つ。
- 小さな向上をほめる。すべての改善点をほめる。「心から評価し、惜しみなく称賛する」
- 実際以上の評価を与える。
- 励ます。改善点をわかりやすくする。簡単にできると思わせる。
- 相手が喜ぶ提案をする。
人を変えたいと願うのであれば、相手をとにかく称賛することです。
多くの場合、相手を変えたいと願う時は何か不満がある場合でしょう。
不満がある相手に対して称賛するというのはかなり難しいことだと思います。
しかし、考えてみてください。
かんたんに人を変えることができるのであれば、あなた自身もまた相手にとって都合の良い人に変わっているはずです。
『人を動かす』には以下のような記述があります。
励ましは惜しまず、物事の達成を簡単だと思い込ませます。さらに、相手の達成能力や潜在能力を信じていることを伝えれば、相手はもっとできるようになろうと、朝まで練習するはずです。
『[完全版]人を動かす』p.282より
称賛できるところがないと思うのであれば、相手に自分は信じているということを伝えましょう。
あなたならできるはずだと励ましましょう。
良さを認め、称賛し、励ます。
そうやって少しずつ変化を促していくことが大切なのです。
人を変える9原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
敵を味方に変える2つの原則
【敵を味方に変える2つの原則】
- 相手に小さな頼みごとをする。
- 小さな頼みごとをする。
敵を味方にするポイントは相手に有用感を与えることです。
有用感とは、自分が人の役に立っていると感じることや人より優秀であると感じることを言います。
例えば、“何かを教える”という行為に対して人は有用感をもちます。
ですから、味方にしたい人にはどんどん質問をしましょう。
その人が得意なこと専門にしていること、人より優れていると思っていることを聞き出すのです。
相手が得意げになってたっぷり語るのをしっかり聞きましょう。
称賛するのを忘れず、最後まで話しを聞き切った時、その人はあなたの味方になっていることでしょう。
しかし、忘れてはいけないことが1つあります。
『人を動かす』には、以下のような記述があります。
人は誰でも、尊重され、認められることを切望し、そのためならほとんど何でもします。それは忘れてはいけませんが、心にもない言葉を欲しがる人は誰もいませんし、わざとらしいお世辞を欲しがる人もいません。
形式的に取り組んでも効果はありません。
相手の話を聞き、心から賞賛の気持ちを持つことが大切なのです。
敵を味方に変える原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください
家族を幸せにする7つの原則
【家族を幸せにする7つの原則】
- 決して口やかましく言わないこと!!!
- 相手を変えようとしない。
- 非難しない。
- 心から感謝する。
- 小さなことに注意を払う。
- 礼儀を守る。
- セックスについて良書を読む。
家族にこそ最も礼儀をもって接するべきです。
他人行儀にしろということではありません。
気を遣えというわけでもありません。
“家族だから”と勝手に許されると思っている行動をやめましょう、ということです。
例えば服装です。
ラクな恰好をするのは構いません。
しかし、下着姿で歩くのはマナー違反です。
他人に対してそんな姿を見せませんよね?
他人に見せられない姿、他人には言わないような言葉、他人にはしないような行為は控えましょう。
一番一緒に長い時間を過ごす相手だからこそ、相手を尊重しましょう。
家族を幸せにする原則についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
『人を動かす』のマンガ版は?
『人を動かす』はマンガ版も出版されています。
「『人を動かす』は読んでみたいけど、ハードカバーや文庫で読むのはちょっとハードルが高い・・・」 という人にオススメです。
しかし、マンガにするということはストーリーに『人を動かす』のエッセンスを多少強引に入れることになります。
そのため、多少違和感があるのは否めません。
『人を動かす』の予習や復習に使う副読本として活用することもできそうです。
マンガ版について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
著者D・カーネギーについて
『人を動かす』、『道は開ける』、『話し方入門』などのベストセラーを生み出したD・カーネギー。
そんな彼も最初から順風満帆な人生だったわけではないようです。
D・カーネギーは貧しい農家に生まれます。
そのため幼少期は裕福とは言えない生活をしていたようです。
成人し、就職しても職を転々としています。
彼の才能が発揮されだしたのはYMCAの夜間学校で「話し方」の講座を持つようになってからでした。
そんな彼が生み出した話し方の原則は100年以上経った今でも書籍やセミナーで語り継がれています。
D・カーネギーについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください
D・カーネギーの名言
D・カーネギーは書籍の中で数多くの名言を残しています。
ここではその一部を紹介します。
01.
幸せは、あなたの外でなく、内側にあるのです
幸せも不幸せも自分の心次第で決まるということです。
相手を変えるのではなく、自分が変わるべきだと主張するD・カーネギーらしい言葉です。
02.
議論から最大の利益を得る唯一の方法は、議論を避けることである
徹底して議論するべきではないと語るD・カーネギー。
議論には勝っても負けてもお互いに何も残らないことを彼はよく知っていたのでしょう。
03.
運命がレモンをくれたら、それでレモネードを作る努力をしよう
当時、レモンは何の価値もない果実だとされていました。
彼はどんな価値がなさそうなものであっても、与えられたもので工夫してなんとかするしかないと語ったのです。
D・カーネギーの名言をもっと知りたい方は以下の記事をご覧ください。
まとめ:読まれ続けるのには理由がある
100年経っても人の根本は変わらない
『人を動かす』で語られている原則は今なお使えるものばかりです。
『人を動かす』の出版当時からしてみると文化も文明も大きく変わりました。
それでも人の営みの根本は変わらないのです。
おそらく、これから先もそこは変わらない部分なのではないでしょうか。
もしかすると『人を動かす』はこれからの時代にこそ必要とされる1冊なのかもしれません。