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【書評】『自閉症児のことばを育てる発達アプローチ』著:矢幡洋

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印象に残ったフレーズ

自閉症療育の海外文献には、「ワン・アップ・ルール」という標語があります。子どもが構成する文の単語数よりも、一つ多い単語数に語数をとどめるというルールです。

 

定型発達児は、2歳で喜び・悲しみ・怒り・恐れの感情を言語化します。これに驚き・嫌悪を加えた感情を示す表情を、2歳児は区別し、多くの文化圏で感情の基礎レベルとされています。

 

ハネン・センターでは、「最低、心の中で5つ数えるまで待ちなさい」とされています。文章を期待する場合には、最低15秒以上は待ちましょう。

 

仕事や人生に活かせるアクション

『ワン・アップ・ルール』の活用

子どもの構成する文章に合わせて言葉を使う。

発語がない子どもには単語を繰り返す。

2語文の子どもには3語文で話す。

待つ

子どもの考える時間を奪わない。

しっかり待って、子どもの考える時間を確保。

 

感想

全体を通してABAを活用した療育に取り組んでいるように感じた。

発語を促す際に本人の好きなおかし等の食べ物を使ったり、好きな玩具を使ったりする点はABAに類似している。

その一方でABAの療育で見られる『場面の設定』については好意的ではなく、『知育っぽく』ならないように努め、通常のコミュニケーションの中で言語を育むほうがよいと考えているようだ。

もちろん、通常のコミュニケーションの中で言語を育むほうがよいのはもっともである。

しかし、療育の現場は時間も場面も限られており、その中で最大限の成果を生むためには場面の設定も必要だと考える。

家庭での療育と支援を行う場所での療育は分けて考えるべきであり、同じことをしようとすると上手くいかないのは当たり前だ。

それぞれが異なる方向から療育を行い、子どもに様々な刺激・経験を与えることが成長につながると考えている。