「人生を変えるには、大きな決断や劇的な変化が必要だ」そう思っていた私にとって、『複利で伸びる1つの習慣(原題:Atomic Habits)』は、目から鱗の一冊でした。
著者のジェームズ・クリアーは、「小さな行動の積み重ね」が、やがて驚くような成果につながることを、科学的な根拠と実例を交えて教えてくれます。
成功には大きな行動が必要?
大きな成功には大きな行動が必要だと、わたしたちは思いこみやすい。
この一文は、本書の核心を突いています。
多くの人が、「一念発起して大改革!」を夢見ますが、現実はもっと地味で堅実なものです。
毎日のほんの小さな習慣の積み重ねが、長期的には大きな差を生み出すと著者は語ります。
実際、1%の改善を毎日続ければ、1年後には大きな進歩になります。
逆に、1%の悪化も積み重なれば、あっという間に後退してしまうのです。
だからこそ、「いきなり完璧」を目指すのではなく、「続けられる小さな一歩」に目を向けることが重要なのです。
モチベーションが足りない?それは明確さが足りない
モチベーション不足だと感じるとき、実は足らないのは明確さであることが多い。
「やる気が出ない」と嘆く前に、「何を・いつ・どこで・どれくらいやるか」がはっきりしているのかを確認しましょう。
本書では、習慣を定着させるための具体的な戦略として、「実行意図」を明確にするという手法を紹介しています。
実行意図とは、「毎朝7時に、キッチンテーブルで、10分間日記を書く」といったように、具体的な行動計画を立てることです。
何をいつどの程度行うのか明確にすることで、迷いや先延ばしを防げるのです。
明確にすれば、行動は自然とついてきます。
悪い習慣をやめるには、小さな壁を作ればいい
望ましくない習慣をやめるには、驚くほどわずかな抵抗があればいい。
悪習慣をやめるのは難しいと感じる人も多いですが、本書では「ちょっとした面倒さ」を加えるだけで効果があると示されています。
たとえば、スマホ依存を減らしたければ、別の部屋に置くだけでも行動を抑制できるのです。
人間は基本的に「楽な方」に流されがちです。
ですから、望ましくない行動に繋がる前に”ひと手間”を加えるだけで、習慣の流れを変えることができます。
逆に、よい習慣はできるだけ簡単に始められるようにしておくのがポイントです。
まとめ:変化は小さな積み重ねから
『複利で伸びる1つの習慣』は、派手な自己啓発書ではありません。
しかし、日常の中で本当に役立つ「行動のしくみ」を教えてくれる、実用性の高い一冊です。
大きな変化を求めるあまり、何も始められなかった過去の自分に読ませたい内容でした。
結局、人生を変えるのは「小さなことをいかに続けるか」。
この本を読めば、「自分にもできる」と思えるようになるはずです。
習慣を変えたいと考えているすべての人に、強くおすすめしたい一冊です。