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【書評】自分探しをする前に!『自分の壁』養老 孟司 著

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「自分」の壁

自分探しってやったことありますか?

私はないです。

でも、自分ってなんなのかなーとボーっと考えたことはあります。

きっとあなたも思春期にはそんなことを考えたことがあるはず。

大人になって、少し仕事に慣れてきてもそんなことを思ったりしませんか?

「オレってなんのために働いているんだろう・・・」みたいな。

そんな「自分」について考えている人に読んでほしいのがこの本

『「自分」の壁』です。

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著者は養老孟司さん。『バカの壁』で一躍有名人になりました。

「自分」のことを中心に養老さんが最近考えていることについて語ってくれます。

個性は生まれるものではない

「自分」を語る上で欠かせないのが「個性」です。

最近の教育ではやたらと個性の尊重が叫ばれています。

もっと個性を伸ばそう!もっと個性を磨こう!

養老さん曰く、個性は誰かが伸ばそうとしたり、磨いたりするものではないとのこと。

個性は放っておいても誰にでもあります。だから、この世の中で生きていくうえで大切なのは、「人といかに違うか」ではなくて、人と同じところを探すことです。

P.12

人と同じところを探せば、必然的に違いが見えてくる

そして、その違いこそが「個性」

おもしろいですね。

本当の自分

本当の自分は最後に残るんです

うん、意味がわかりませんよね。

これは伝統芸能の例がわかりやすかった。

伝統芸能は入門した弟子は師匠のマネをすることから始めます。

徹底的にマネをするけども、それでもマネできない部分が出てくる

それが「師匠の個性」であり「弟子の個性」でもあるんです。

徹底的に真似をすることから個性は生まれるのです。

P.34

なんかさっきと言っていることが違うように感じますが本質は同じ。

やっぱり、同じところがわからないと違いもわからないってことですね。

「本当の自分」を見つけたきゃ、まずは誰かのマネをしろってことです。

自分探しの注意点

人間の脳は、つい楽をしようとします。脳が楽をする、とはどういうことか。それは現実を単純化して考えようとする、ということです。

P.208

例えば、サッカーと野球が苦手だけど他のスポーツは何かできるかもしれない、と考えるよりも、サッカーと野球が苦手だからスポーツは苦手なんだと考えるほうが、考える選択肢が減るので脳は楽なんです。

脳に騙されちゃいけません。

野球もサッカーも苦手だったとしても、バレーだったらいけるかもしれない。

バレーがダメでもクリケットなら。

クリケットがダメでもカバディなら・・・と単純化しなければ選択肢はどんどん増えていくんです。

さらに言えば過度の一般化も危険です。

一つの例を見て、一般化を進める思考法はたいてい間違えます。このことを、まともな科学者はよく知っています。こういう思考法では九九パーセントが間違える、といってもいいくらいです。

P.194

自分探しで言えば、例えば、1回プレゼンを失敗したからといって「自分はプレゼンが苦手な人間なんだ・・・」と考えるのはおかしいってことです。

当たり前ですよね。

でも、この失敗が大きなものだったりするとどうですか?

自分は本番に弱いタイプ・・・とか最後の詰めが甘いタイプとか勝手に決めつけてしまいがちですよね。

自分で自分を見つめ直してみると、過去の余計な肩書とグッバイできそうですね。

名言ピックアップ

なにかにぶつかり、迷い、挑戦し、失敗し、ということを繰り返すことになります。

しかし、そうやって自分で育ててきた感覚のことを、「自信」というのです。

養老 孟司

「個性」はマネをすることで気付くもの

そして、マネをすることに挑戦したり、失敗したりすることで「自信」は育っていく。

身に沁みますね。

ぶっちゃけ『バカの壁』ほどの衝撃はありません。

でも、ここでは紹介し切れなかった「情報過多」の問題や「エネルギー」の問題についても語ってくれていて盛りだくさんの内容となっています。

養老孟司さんの考え方をもっと知りたい!という方にはオススメの1冊です。

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