“自分の人生は、自分で選べる”と気づかせてくれる1冊
「幸せになるには勇気が必要」。
この一言が、すべての出発点なのだと感じさせてくれるのが、岩田浩さんの『アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』です。
アドラー心理学というと、「難しそう」「哲学的で取っつきにくい」という印象を持つ人も多いかもしれません。
でもこの本は、そのエッセンスをマンガと簡潔な解説で、驚くほどわかりやすく伝えてくれる入門書です。
5つの土台で理解するアドラーの考え方
本書で紹介されるアドラー心理学の基本理論は以下の5つ
目的論:「すべての行動には目的がある」
全体論:「心と体を切り離さず、人を“全体”で見る」
認知論:「人は主観的に世界を見ている」
対人関係論:「すべての悩みは対人関係にある」
自己決定論:「自分の行動は自分で選べる」
どれも日常に直結している考え方ですが、特に「目的論」が衝撃的でした。
たとえば「怒り」は、最初に感じた悲しみや寂しさを理解されなかったことで生まれる“二次感情”であり、目的をもって表れると考えます。
怒りが目的だなんて、普段はなかなか思いませんよね。
でも、そう捉えることで感情に振り回されず、自分で対処できるヒントになるのです。
「4つのS」が子育てを変える
本書の魅力は、大人向けの心理学だけでなく、子育て・教育に応用できる「実践的アドラー」がしっかり描かれている点にもあります。
アドラー心理学における教育のキーワードが「4つのS」です。
尊敬:子どもを対等な存在として接する
責任:やるべきことを自分で引き受ける
社会性:他者を思いやる力
生活力:自立して生きるための力
これを読んで、自分が子どもに「ちゃんとしなさい!」と命令しているだけになっていたことに気づかされました。
本当に育てたいのは“言うことを聞く子”ではなく、自分で判断して行動できる子なんですよね。
正解は「がんばれ!」じゃなくて「大丈夫!」
個人的に最も心に残ったのは、「“頑張れ”は不正解、“大丈夫”が正解」という言葉です。
つい「もっと頑張って!」と励ましがちですが、それは相手にプレッシャーを与えてしまうこともあります。
本当に伝えたいのは、「あなたには力がある」という信頼のメッセージ。
それなら、「大丈夫。あなたならできるよ」と伝えればいいのです。
この視点の切り替えは、子育てにも、職場の人間関係にも役立ちます。
教育のゴールは“貢献できる人”を育てること
アドラー心理学の最終的な目的は、「人が社会の一員として貢献できるようになること」。
子どもを育てる、部下を育てる、自分を育てる──そのすべてに共通するのが、「自分で選び、他者とつながり、貢献できる力を育てる」ということなのだと、本書を通して強く実感しました。
まとめ:難しいことを、やさしく届ける一冊
アドラー心理学は「実践の心理学」とも言われますが、この本はその本質を、マンガという形式で圧倒的にわかりやすく伝えてくれます。
心理学を初めて学ぶ人にも、子育てや教育に悩む人にも、「この本なら読めるし、試してみよう」と思わせてくれるはず。
人生や子育てに迷ったとき、そっと背中を押してくれる“頼れる1冊”として、手元に置いておきたい本です。
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