この記事では『人を動かす』(著:D・カーネギー)で紹介されている“人を説得するための12原則”について解説します。
永遠の名著『人を動かす』の中でカーネギーは人を説得するための12原則を紹介しています。
その12原則とは以下のものです。
- 議論で最善の結果を得たいなら、議論自体を避ける。
- 相手の意見に敬意を示す。絶対に間違いを指摘しない。
- 自分の間違いは、素早くきっぱりと認める。
- 友好的に始める。
- ただちにイエス・イエスと言わせる。
- 相手にたくさん話させる。
- 自分で考えた気にさせる。
- 相手の視点から、誠実に物事を見る。
- 相手の考えと欲求に共感する。
- 崇高な使命感に訴える。
- 自分の考えを演出する。
- 挑戦させる。
それでは詳しく解説していきます。
人を説得するための12原則①:議論で最善の結果を得たいなら、議論自体を避ける。
そもそも説得しなければならない状況を作らないことが大切。
人と議論することになってしまった時。
もうその時点で失敗なのです。
『人を動かす』には以下のような記述があります。
賢人ベンジャミン・フランクリンは、よくこう言っていました。
「議論したり反論したりして勝利を得ても、相手の好意を得ることは決してなく、それは空虚な勝利となるだろう」
議論になってしまった時点で、”勝っても負け、負けても負け”です。
議論になりそうだと思った時点で、さっと身を引くのが正解です。
人を説得するための12原則②:相手の意見に敬意を示す。絶対に間違いを指摘しない。
“教える”のではなく“気付かせる”ことが大切
相手が間違っていることに気付いた時、多くの人は正しいことを教えたくなるものです。
しかし、相手を説得したいのであれば間違いの指摘はやめておきましょう。
それでも、どうしても間違いを指摘しなければならない時は、どうしたらよいのでしょうか。
D・カーネギーは以下のように述べています。
もし、何かを教えたくなっても、それを悟られてはいけません。誰にも感づかれないように、きわめて巧妙にやりましょう。
ポイントは相手に自分で気付かせること、もしくは自分で気付いたと思わせることです。
絶対に“教えてあげた”という状況にならないように気を配りましょう。
人を説得するための12原則③:自分の間違いは、素早くきっぱりと認める。
相手が言いたい自分の落ち度を先に言えば良い。
原則の②で話したように、多くの人は相手の間違いを指摘することが大好きです。
あなたが何か失敗をした時にも恐らく容赦ない指摘が待っていることでしょう。
その時に言い訳をしてしまうと最悪です。
より一層相手はあなたの落ち度を責め立てることでしょう。
ここでの正解は早く自分の落ち度を認めてしまうことです。
D・カーネギーは以下のように述べています。
自分自身の悪口を言ってみましょう。自分が知っている自分の悪い点や、相手が考えている自分の悪い点、考えられるあらゆる悪口を先手を打って口に出すのです。相手に言われる前に、言ってください。
相手が欲しいのは“自分の方が相手よりも優秀である”という自己有用感です。
先に自分の落ち度を認め、謝罪してしまえば、相手は自己有用感を満たすために“許す”という選択肢しかなくなります。
間違いはすぐに認めるが吉です。
人を説得するための12原則④:友好的に始める。
相手に味方であることを印象付ける。
好きな人と嫌いな人。
同じ事を言われても納得しやすいのはどちらでしょうか。
当然、前者です。
人は“何を”言っているかよりも“誰が”言っているかを重視します。
D・カーネギーは以下のように述べています。
もし、人を思い通りにしたいなら、まず、あなたが誠実な人間であることを、相手に納得させるべきです。
説得したいのであれば、まずはあなたが味方であることを相手に意識付けしましょう。
それだけであなたの言葉の重みが違ってきます。
人を説得するための12原則⑤:ただちにイエス・イエスと言わせる。
同じ意見の部分を強調する。
人は意見が違う相手からの話を素直に聞くことができません。
最初に意見が違うと思ってしまうと、その後の話も最初の印象に引きずられて正しく判断できなくなってしまうのです。
そこで大切になってくるのが、同じ意見であることを強調することです。
人と意見が違うところから、話を始めてはいけません。意見が同じであることを強調しながら話を始めましょう。
上記で述べたように、人は最初の意見の一致によって、その後の対応が異なってきます。
つまり、最初の意見を一致させれば、その後の意見も一致させやすくなるということです。
最初に相手にどんな質問を投げかければ「イエス」と返ってくるかを考えて話しましょう。
人を説得するための12原則⑥:相手にたくさん話させる。
まずは徹底して“聞く”ことが大事。
私たちは相手を説得しようとする時、とにかく多弁になりがちです。
D・カーネギーも以下のように述べています。
人はたいてい、相手の考えを変えようと、たくさん話しすぎます。
説得する時に大切なことは話を“する”ことよりも“聞く”ことです。
なぜなら、相手の話を聞かないことには相手の真意を聞き出すことはできないからです。
これ以上話すことはないというくらいに相手の話を聞きましょう。
そうするだけで、あなたが話すべきことが見えてくるはずです。
人を説得するための12原則⑦:自分で考えた気にさせる。
答えは相手に出してもらう。
人は強制されることを嫌がります。
あなたも誰かから「これ絶対に良いから買いなよ!」と言われても、なかなかすぐに承諾することはしないと思います。
私もそうです。
誰だって何でも自分で決めたいのです。
D・カーネギーは以下のように述べています。
私たちは、自分の意志で買っているとか、自分の考えで動いていると感じることを好みます。
ですから、説得するためには、相手が自分自身で決めたかのように錯覚させることが大事です。
原則②や原則⑥に通ずるところがありますね。
人を説得するための12原則⑧:相手の視点から、誠実に物事を見る。
「自分が相手の立場なら・・・」と考えてみる。
説得する時って「こうしたほうがいいよ」とか「それはやめたほうがいい」とか、自分の意見をそのままぶつけてしまいがちです。
それではうまくいきません。
D・カーネギーは以下のように述べています。
「どうすれば、その人がやりたくなるのか?」と考えるのです。時間がかかるのは確かですが、味方ができ、より良い結果が得られるでしょう。
相手の立場になって、どうしたらそうしたくなるかを考えましょう。
相手が自ら進んでこちらの望み通りに動くように導くのです。
人を説得するための12原則⑨:相手の考えと欲求に共感する。
“同じ気持ち”であることを強調する。
人は共感されるのが大好きです。
SNS上でも“いいね”を求めて錯綜する人たちが大勢見られます。
『人を動かす』には以下のように書かれています。
あなたが出会う人間の4分の3は、共感に飢え、渇望しています。
共感する、それだけで相手にとってのあなたの立場は大きく変わります。
同じ気持ちであるということを積極的に主張しましょう。
そうすることで、相手はあなたの意見に同調しやすくなるのです。
人を説得するための12原則⑩:崇高な使命感に訴える。
論理ではなく、感情に訴える。
どれだけ論理的に正しくても相手は納得しません。
なぜなら“感情”がそれを阻むからです。
この“感情”を逆手に取る方法が、相手の道徳に訴える方法です。
『人を動かす』には以下のように書かれています。
一方、私たちはみな、心の底では理想主義者であり、聞こえの良い動機を考えたいのです。ですから、相手を動かすには、崇高な使命感に訴えるのです。
例えば、コーヒーを売る時にも「このコーヒーを買ってください」というよりも「このコーヒーを買っていただけるとアフリカで飢餓に苦しんでいる子どもを助けることができます」と言ったほうが効果的です。
人は行動するために理由を欲しがります。
その理由に正当性があり、自身の尊厳を高めるものであれば、自ら進んで行動に移してくれるのです。
人を説得するための12原則⑪:自分の考えを演出する。
面白く、劇的に伝えることが大切。
伝え方一つで同じ内容でも説得できるかどうかは大きく変わってきます。
近年では中田敦彦氏やカズレーザー氏がYoutubeで教育系の情報を発信して好評を得ていますが、これも内容ではなく伝え方が面白いからです。
『人を動かす』には以下のような記述があります。
現代は、演出の時代です。単に事実を述べるだけでは十分ではありません。事実は、生き生きと、面白く、劇的であるべきです。
事実だけなら調べれば誰でも手に入れることができます。
大切なのはプラスアルファのエンターテインメント性です。
たとえ話を使うだけでも単純に事実を伝えるよりは効果的ですので、ぜひ試してみてください。
人を説得するための12原則⑫:挑戦させる。
人より優れていたいという気持ちを刺激する。
様々な順位に一喜一憂した経験は誰もが持っているでしょう。
みんな人よりも優れていたいという気持ちを持っているのです。
この特性を利用することが相手の説得につながります。
『人を動かす』には以下のように書かれています。
優れていたいという願望!勇気ある人間に訴える、間違いのない方法です。
例えば、「プロジェクトのリーダーを引き受けてくれ」と言うよりも「このプロジェクトのリーダーは優秀な人にしか任せられないんだ」と言ったほうが引き受けてくれる可能性は上がるはずです。
“優秀な人”になるという挑戦を促しているからです。
あまりにも競争心を煽るとうまくいかない場合もありますが、何かに挑戦させる、人と競争させるのは人を説得させるのには有効な手段なのです。
まとめ:“説得する”のではなく、相手が自ら“納得する”ように導くことが大切
名著『人を動かす』によると、人を説得するための原則は12ありました。
その12原則とは以下のものです。
- 議論で最善の結果を得たいなら、議論自体を避ける。
- 相手の意見に敬意を示す。絶対に間違いを指摘しない。
- 自分の間違いは、素早くきっぱりと認める。
- 友好的に始める。
- ただちにイエス・イエスと言わせる。
- 相手にたくさん話させる。
- 自分で考えた気にさせる。
- 相手の視点から、誠実に物事を見る。
- 相手の考えと欲求に共感する。
- 崇高な使命感に訴える。
- 自分の考えを演出する。
- 挑戦させる。
かんたんに言うと、
- そもそも説得しなければならない状況を作らないことが大切。
- “教える”のではなく“気付かせる”ことが大切
- 相手が言いたい自分の落ち度を先に言えば良い。
- 相手に味方であることを印象付ける。
- 同じ意見の部分を強調する。
- まずは徹底して“聞く”ことが大事。
- 答えは相手に出してもらう。
- 「自分が相手の立場なら・・・」と考えてみる。
- “同じ気持ち”であることを強調する。
- 論理ではなく、感情に訴える。
- 面白く、劇的に伝えることが大切。
- 人より優れていたいという気持ちを刺激する。
ということです。
この記事を読んで、『人を動かす』に興味をもった方はぜひ原作を読んでみてくださいね。
名著『人を動かす』に登場するその他の原則
人との関わり方の3原則
基本中の基本。
『人を動かす』を理解するためには理解必須の原則です。
人に好かれる6原則
コミュニケーションの基本がわかります。
人を説得する以前に知っておきたい原則です。