書評

【書評】これは一遍の小説である『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 

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『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 ヤニス・バルファキス

この本は「お金」について、子どもでもわかるように書かれています。「お金ってそもそも何だろう?」という疑問を解決してくれる1冊です。

「経済って何?」と聞かれて答えられる人がどれだけいるのでしょうか?というよりも、この質問に対しての答えはあるのでしょうか?

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』は題名の通り、「経済」について父親が娘に対して説明するかのようにわかりやすく、かんたんな言葉を使って書かれています

それなのに、読み終わったあとには「そうだったのか!」という気づきが多く得られる1冊です。

ふたつの価値

著者のヤニス・バルファキスさんは、ものには2つの価値があると語ります。それは「経験価値」と「交換価値」です。

「経験価値」は売り物ではなく、他の何ものにも変えられません。愛する子どもの手料理や家族との思い出はこれに当たるでしょう。「交換価値」は、何かを交換するときの価値です。これを受けて市場価格は決まります。レストランの料理は1万円と交換する価値があるから食べたいと思うわけです。

ヤニスさんは「経験価値」と「交換価値」は本来対極にあるはずなのに、今はどんなものも交換価値で測れると勘違いされていると述べています。

現実では

「交換価値」で全て測れるということは、お金で何でも買えるということです。もちろん、そんなことはありませんよね。

本書では献血を例に説明しています。なんと、献血に対してお金を支払うようになると、献血に来る人が減るというのです。

これは、自分の血に対しての「交換価値」を受け取りたいわけではなく、献血という行為によって、誰かを自分は助けることができるかもしれないという「経験」を多くの人が望んでいるからでしょう。

お金で買えないものはある

以上のことから察するに、やはりお金で買えないものは世の中にあるのでしょう。

このことを忘れてしまい、全てのものに「交換価値」をつけようとすると、やがて自分にも「交換価値」をつけるようになります。

もちろん、それは自分の人生にとって有意義なことにつながることもあるのかもしれませんが、多くの人の幸せにつながるとは思えない考え方です。

通貨の価値

本書の中で非常にわかりやすかったのが【第7章 誰にも管理されない「新しいお金」】です。

お金の価値はどうやって決まるのか、インフレやデフレはどのようにして起こるのかがとてもわかりやすく書かれていました。

また、ビットコイン誕生の原点についてもこの章で説明されています。

生産コストとの関係

通貨の価値は生産コストと全く関係ありません。実はこれ自体がすごいことなのですが、このことについて詳しくは本書をご覧ください。

日本円で言うと1万円札の原価は22~24円だそうです。それなのに1万円の価値を持っているのは、そこに信用があり、希少性があるからなんですね。

ここでポイントとなるのが、通貨に信用があるのも、希少性のコントロールができるのも管理者がいるからということなんです。

思考実験

本書では、最後に思考実験と称した質問が書かれています。簡単に言うと、ある機械を使って、今のあなたの望み通りの仮想現実に行きたいですか?というものです。

もちろん、現実ではありませんが、一度その世界に行ってしまえば、そこが現実か仮想空間かはわかりません。その世界では、全てがあなたの望むがままです。ただし、一度入ってしまえば最後、現実に帰ってくることはできません

仮想現実に行っている間、現実世界のあなたの体はちゃんと万全の状態を保ってくれます。

おそらく多くの人が選ぶ道

きっとこれを読んでいるあなたは、そんな世界に行きたくないと思うはずです。その選択ができたということは、あなたは人生において欲望だけを望んでいるわけではないということです。

私たちは人生の中で望まない経験もしてきました。しかし、それによって以前の自分とは異なる幸せを見つけることもできるようになってきたはずです。

著者のヤニスさんは「本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスだ」と語ります。

著者が娘に伝えたかったこと

「経済」の話を通して、著者のヤニスさんは「お金」では買えないものがあることや、手に入らないモノや上手くいかない現実があるからこそ幸せを感じることができるということを伝えたかったのではないでしょうか。

「経済」の話という、ちょっと避けたくなるような内容と思わせながらも、読んでみると長いひとつの手紙のようにも思えてくる1冊です。ぜひ、読んでみてください。

本書の著者について

著者のヤニス・バルファキスさんは、1961年にアテネで生まれます。

2015年には、ギリシャの経済危機時に財務大臣を務め、EU から財政緊縮策を迫られるなかで大幅な債務帳消しを主張し、世界的に話題となりました。

長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え、現在はアテネ大学で経済学教授を務めています。

一緒に読むと効果が倍増する本

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お金の誕生やビットコインについて詳しく知りたいならこの1冊。

こっちを読んでから本書を読んだほうがわかりやすいかも。

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