書評

2020年の教育ってどう変わるの?変化の全貌がわかる1冊!

教育激変

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中公新書ラクレさんから出た1冊。著者は「週刊子どもニュース」で活躍した池上彰さん元外務省主任分析官の佐藤優さんです。お二人の対談形式で書かれています。少し内容が専門的なので★3つとしました。ただ教育に携わる人にとっては★5つものの本です。

とにかくわかりやすい!特に池上さんの解説がすばらしいです。時折「ん?」となる専門用語や専門知識が出てくるのですが、すかさず解説してくれます。まさに「お父さん」です。

さて、この本の中で話題になっていることが大きく2つあります。1つは大学入試。もう1つは学習指導要領についてです。どちらも2020年に転換期を迎えるものですね。

大学入試についてはニュースでも度々取り上げられているのでなんとなくご存知の方も多いのではないでしょうか。新テストでは国語と数学に記述問題が取り入れられたことで大きく話題になっていますね。

新しい国語の問題に関しては二人とも「いい問題である」と結論付けています。問題の文章量や資料の数はかなり増えていますが、しっかりと表現力や読解力が試される問題になっているとのこと。「問題が難しすぎる」との声に対しては「『良問』が解けないのは、それに対応する学力が育まれていないからだ」とバッサリ。

一方で、英語の試験に「話す」を加えた点については懐疑的なようです。曰く、「話す」ことは専門性が高い分野であるとのこと。そのため、英会話学校に通える子や海外に住んでいた経験がある子など、親の資力や住んでいる場所によって取れる点数に差が生まれてしまうことを危惧しています。「入学試験というものは、問題の良し悪しと同時に、フェアに力が試されるものでなくてはなりません」という佐藤さんの言葉は胸に留めておく必要があるでしょう。

もう一方の話題である2020年のから始まる指導要領については目玉となっている「アクティブラーニング」のことを語っています。ちなみに「アクティブラーニング」という言葉は発表の後一人歩きしてしまい、様々な混乱を生んだので現在では「主体的・対話的で深い学び」と変わっています。ただし、あくまで言い換えただけなので基本的な考え方に変化があったわけではありません。

「アクティブラーニング」についてざっくり説明しますと、今までの教員から子どもへの一方的な指導ではなく、子どもたちが自らで調べたり、話し合ったりしながら学習していく方法のことです。

「アクティブラーニング」の導入については二人とも肯定的な立場をとっています。やはり受け身の姿勢で先生の話を聞いているだけでは自分の身にならないとのこと。その一方で、伝統的な座学で学ばれてきた最低限のことが欠落してしまうと問題になるとも語っています。今後は、必要なところにどうやってアクティブラーニングを取り入れていくのかが大切になってくるでしょう。

今の教育の問題点や今の教育に至る経緯まで丁寧に説明してくれています。また、対話形式なので非常に読みやすい。池上さんの解説もとても助かります。教育関係者はもちろん、お子さんがいる方にもおススメの1冊です。