書評

【書評】これはもはや将棋漫画ではない【ハチワンダイバー】

野球、テニス、囲碁。当然ながら漫画には様々なジャンルのものがある。『スラムダンク』が流行った時にはバスケ部が人気になったように、『テニスの王子様』が流行った時はテニス部が人気になったように。面白い漫画というのは読んだ人にそれをやってみたいと思わせるものだ

今回、私が読んだ本はそれとは少し違う。しかし、たしかに面白い漫画なのだ。その漫画の名前は『ハチワンダイバー』。何を今さらと言う人もいるだろう。ドラマにもなっているくらい有名な作品だからだ。なんとゲームにもなっている。最近ではパチンコにもなったらしい。

『ハチワンダイバー』は将棋漫画だ。いや、将棋漫画のはずなのだ。しかし、読み終わった後に将棋をしたくなるかと言われるとそうでもない。はっきり言って将棋漫画の枠を大きく飛び越えているのだ。

主人公は菅田健太郎という男だ。かつてはプロ棋士を目指していたが夢破れ、賭け将棋で細々と暮らしている。賭け将棋で暮らしている人のことを真剣師と言うらしい。そんな男の人生を大きく変えることになったのが秋葉原の真剣師「アキバの受け師」という女性だ。この女性との対局をきっかけに彼はおよそ通常では考えられないような人生を送ることになる。

この漫画の面白さは何か?と聞かれると答えるのが難しい。私は将棋について詳しいわけでもないので漫画の中で描かれている将棋のことについては全くわからない。「ここでその戦法か!」とか「そんな手があったとは・・・」とはならないのである。しかし、一気に全35巻を読み切れるくらいに面白い。それは将棋がわからなくても楽しめることの証明に他ならない。それに将棋なんて駒の動かし方くらいしか知らない私が楽しめたのだから、詳しい人が見ればもっと楽しめるに違いない。また、最後まで馬鹿馬鹿しさを捨てないのもこの漫画の魅力だ。この部分に関しては作者のプライドを感じるほどだ。

『ハチワンダイバー』は読んでいると途中から「あれ?これって将棋漫画だっけ?」と錯覚させられる漫画である。将棋が好きな人も将棋を知らない人もきっと楽しめるはずだ。今はアプリで少しづつだが無料で見られるようだ。なんて良い時代だ。しかし、この面白さはぜひ一気に読んで味わってもらいたい。その方が馬鹿馬鹿しさも伝わるはずだ。

「ハチワンダイバー?なんか聞いたことあるけど将棋の漫画でしょ?将棋とか興味ないんだよねー」という方はぜひ読んでもらいたい。きっと読んだことを後悔しないはずだ。しかし、読んでよかった!ともならないのが『ハチワンダイバー』の良さなのだろう。